エムラクリームの概要

今回紹介する「エムラクリーム」はアストラゼネカ社(旧アストラ社)が開発した局所麻酔剤です。

配合されている成分はリドカイン及びプロピトカインでどちらも局所麻酔成分になります。

日本では佐藤製薬がライセンス契約を結び製造販売を行っています。

テクスチャ(質感)は乳白色をしたクリームで経皮的に真皮層にある末梢神経へと麻酔成分を届けるための外用薬(塗り薬)になります。

臨床現場では皮膚の小手術やレーザー照射治療の際の麻酔薬として使われています。

それ以外の使用についてはリドカインが持つ抗不整脈作用、鎮痛効果が必要と認められるケース(不整脈性疾患時の胸痛など)で対症療法のための塗り薬として処方する場合保険の適用が認められています。

したがって上記目的以外で個人的に使用する場合(早漏対策など)については全額自費で購入するか、個人輸入代行を利用して海外から取り寄せることになります。

主成分であるリドカインとプロピトカインは常温では固形ですが、それぞれを等モル混合(初めて聞く方も多いと思いますが、非常に小さな単位であるということだけ覚えておいてください。

)させると室温でも液体となります。

これに乳化剤や安定剤を添加してクリーム状のテクスチャに仕上げたのが「エムラクリーム」になります。

肌馴染みが良く浸透率も高いので良好な局所麻酔効果が得られ、現在では臨床現場でも広く用いられています。

効果、効能について

一般的に皮膚の神経終末(先端部)jは皮膚深部にある「真皮(しんぴ)」と呼ばれる層に広く分布しています。

外用(塗り薬)の局所麻酔剤は麻酔効果を発揮させるために角質層を通過して真皮まで麻酔成分を送り届けなければ意味がありません。

角質層は角質細胞が折り重なる様にして構成されていて吸水性に富んでいますが、角質細胞間には細胞間脂質という油分の多い物質が存在していて水溶性物質の透過を妨げています。

したがって局所麻酔剤が角質層を通過して真皮にまで送り届けられるためには脂質層を通過できる疎水性(水を弾く)の局所麻酔成分を高濃度に配合し、水分含有量の高い製剤が必要となります。

この点でエムラクリームは条件を見事にクリアした外用局所麻酔剤であり、医療現場で広く用いられるようになりました。

具体的な効果・効能は上記の通り皮膚の小手術(縫合や皮膚移植時の剥離術など)、レーザー照射治療時の麻酔薬として用いられることになりますが、真皮層への浸透力に優れているため、早漏対策としても用いられることの多い薬剤です。

また、リドカインには抗不整脈作用や鎮痛効果もあるので不整脈やそれに伴う胸痛時、あるいは筋肉痛などに対して処方されることもあります。

早漏防止目的で使用するとは?

早漏とは男性の性機能障害の一種で、射精のタイミングをコントロールできずに「射精したい」と思うよりも先に果ててしまうことです。

早漏だからといってパートナーが妊娠できないわけではないので、男性不妊症というほどではありませんが、お互いが満足いく性交渉ができない結果性交渉の回数が減り、子供ができないという結果につながることもあります。

したがって最近では早漏(PE)を一つの性機能障害と捉えて積極的な治療を行う医療機関も増えています。

早漏の場合陰茎に張り巡らされた神経の末端が外的な刺激に対して過敏に反応することで起こるという例が最も多いので、クリームやローションタイプの局所麻酔剤を塗ってから性交渉に臨むことで持続時間の延長が可能となります。

従来PE用に処方される外用の局所麻酔剤は「テトラカイン」が多かったのですが、エムラクリームの登場によってより効果の高い「リドカイン」が用いられるケースが増えています。

ただしPE治療は現在保険の適用外なので、早漏防止目的でエムラクリームを希望する場合は全額自由診療となるかもしくは個人輸入代行を使ってネット購入するのが一般的な入手方法になります。

入手方法(保険適用と自由診療)

エムラクリームは現在厚生労働大臣から正式に承認された治療薬なので基本的には「保険診療」が認められています。

「保険診療」とは保険証を窓口で提示するだけでかかる治療費総額の3割だけを負担すれば国民は等しく医療の給付をうけられる制度のことで、日本ではこの制度を「国民皆保険」と位置づけ原則として全ての国民に国民健康保険か社会保険のどちらかへの加入を義務付けています。

しかし、治療薬を承認されている以外の目的で使用する場合、あるいはその治療行為そのものが保険適用外である場合には全額自費扱い(自由診療)となります。

*逆に薬の処方目的で診察を受けた場合も診察料や処方箋発行料、調剤料、検査費用、薬剤費など関連する全ての治療行為が自由診療となります。

エムラクリームの場合、保険適用が認められているケースが

  • 皮膚の小手術やレーザー治療時の局所麻酔剤
  • 不整脈性疾患
  • 疼痛除去

などが目的の場合に限定されています。

早漏防止の場合は承認外の処方である上にPE(早漏)治療自体も保険適用外なので全額自己負担となるのです。

したがってPE治療時には患者さんへの負担が大きくなるので安い海外製のエムラクリームかそのジェネリックを個人輸入で購入するという方法も多くの人が利用しています。

また、自由診療の場合医療機関ごとで自由に金額設定できる決まりになっているので、同じ量の処方を受けても医療機関ごとで窓口負担額が変わってくる場合もあります。

副作用、禁忌並びに使用上の注意について

あまり大きな副作用がある薬ではありませんが、薬である以上副作用が無いということはありえないので、ここで紹介していきましょう。

(副作用として)

  • 紅斑(赤いシミになる)
  • 塗布部蒼白(塗ったところが青白く変色する)
  • 紅潮(局部的に血流が増し赤くなり場合によっては熱を持つ)
  • 錯感覚
  • 肝機能障害

(重大な副作用として)

  • ショック、アナフィラキシー症状:悪心、喘鳴音、めまい、口内異和感、急な便意、耳鳴、発汗、全身潮紅、血圧低下、顔面蒼白、脈拍の異常、意識障害、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、呼吸困難等
  • 手足の震え(振戦)
  • チアノーゼ(メトヘモグロビン血症)

(禁忌として)

  • メトヘモグロビン血症
  • エムラクリームに対する過敏症を有する場合

上記のような患者に対しては処方できません。

(その他注意事項)

  • 相互作用:肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4によって代謝されます。
  • 併用注意:クラスIII抗不整脈剤(薬剤名:アミオダロン)等→薬の作用が強まるリスクがあります/サルファ剤(薬剤名:スルファメトキサゾール)、エステル型局所麻酔薬(薬剤名:プロカイン、アミノ安息香酸エチル)、硝酸薬(薬剤名:ニトログリセリン、亜硝酸アミル)→単独投与によるメトヘモグロビン血症が報告されています/アミド型局所麻酔剤(薬剤名:メピバカイン、ブピバカイン)、クラスI抗不整脈薬(薬剤名:リドカイン、キニジン)→併用により/中毒症状を起こす可能性があります。
  • 妊婦または妊娠の可能性がある女性、あるいは授乳中の女性
  • 小児への投与:小児への投与は安全性が確立されていません
  • 過量投与:麻酔効果によって心臓、呼吸器、血圧、腎機能、肝機能等に過度の負担をかける可能性があります。

上記以外にも使用中に体調不良を起こした場合には使用を一時中断し、処方医か医療機関に相談するようにしてください。

個人輸入代行を利用する際の注意点

現在未承認薬や海外製の薬を取り扱っているネット業者は「個人輸入代行業者」になります。

個人輸入代行業とは個人に成り代わって色々なものの輸入手続きを代行してくれる業者のことです。

医薬品については一定量以下であれば未承認薬の輸入も合法となりますので、信頼できる個人輸入代行業者であれば一般的なネット通販と同じような要領で購入できます。

ただし、以下の点には注意した上で購入するようにしましょう。

  • 在庫を売っているわけではありません:あくまでも個人の輸入申請を代行する業態なので、在庫を販売しているわけではありません。

したがってオーダーしてから入手するまである程度の期間を要する場合があります。

  • 能書は英語になります:医薬品ですので副作用や禁忌、用法用量などの重要な情報には一通り目を通しておく必要性がありますが、輸入薬ですので能書は英語表記だけになります。

したがって薬剤情報はある程度自分で検索する必要があります。

  • 為替の影響を受けます:小ロットの輸入になります。

したがってその都度為替の影響を受けるので毎回同じ金額で購入できるとは限らないことを理解しておく必要性があります。

  • 業者の信頼度をチェックすましょう:これが一番大切なポイントです。

輸出国とブローカーの情報、薬剤師が常駐しているかどうか、薬剤情報は日本語で公開しているか、比較サイトのレビューはどうか、などが業者の信頼性を図る上で参考になりますので必ずチェックするようにしましょう。